「鉛色の空」と表現されることが多い北陸の冬。重たく垂れ込めた雲の向こうには、たっぷりと蓄えられた雪の気配。そして、ある瞬間にその重みに耐えかねたように、ひらひらと、しんしんと、白い欠片が舞い降りてきます。

ここ、射水市・旧新湊の内川エリア。 「日本のベニス」とも称されるこの場所が、一年でその表情を劇的に変えるのが、1月から2月にかけての雪のピーク時期です。 普段は漁師たちの活気ある声が響く川沿いも、雪が降れば一変して静寂に。対岸に並ぶ古い町家の黒瓦が、みるみるうちに白く縁取られ、やがて厚い雪の帽子を被っていく様子は、まるでモノクロ映画を見ているかのようです。
けれど、正直にお伝えしたいのです。私たち地元民にとって、この雪は決して「美しい」の一言で片付けられるものではありません。朝起きて窓の外を見て、一晩で景色を塗り替えた白い塊に「またか……」と深いため息をつく。腰を痛めながらの雪かきは、まさに体力の限界を試される、心底「うんざり」する日常の戦いなのです。道は狭まり、車を出すのにも一苦労。雪よ溶けろ、春よ早く来てくれと空を仰いではぼやきたくなるのが本音なのです。

でも、不思議なものです。私たちが必死に雪をかくその横で、県外から訪れた旅人たちが「なんて綺麗なんだろう」と瞳をキラキラ輝かせている姿を見ると、この「うんざり」する雪さえも、誰かにとっては奇跡のような光景なのだと気づかされます。雪かきのスコップが地面をこする金属音、雪を吸い込んでしんと静まり返った空気、吐き出す息の白さ。そんな厳しい日常の断片さえも、旅の思い出としてはかけがえのない幻想的な体験になるのかもしれません。
そして、もし滞在中に「冬の晴れ間」に出会えたなら、それはこの上ない幸運です。 灰色の雲が奇跡のように割れ、真っ白に雪化粧した立山連峰がその姿を現すことがあります。内川の風景の向こうに、天を突くようにそびえ立つ神々しいまでの稜線。それは、私たち地元民でさえ思わず手を合わせたくなるほど圧倒的で、言葉を失う美しさです。この「冬の立山連峰」を拝めるのは、寒さに覚悟を決めた旅人だけに贈られる最高のご褒美。出会えた方は、本当にラッキーだと言わざるを得ません。

凍えるような外気をたっぷりと吸い込んで、体の芯まで冷えてしまったら。 そんな時こそ、私たちの宿「カモメ」や「ウミネコ」の出番です。扉を開けて一歩中に入れば、優しい温もりと静かな時間が待っています。冷えた手をこすり合わせながら、まずはキッチンでお湯を沸かしてください。
お部屋にご用意しているのは、この土地の呼吸を感じる特別なウェルカムサービスです。 まずは、射水市黒河の「藤岡園」さんの富山の山々に自生するクロモジのティーバッグ。和のハーブともいわれるこの木は、お湯を注いだ瞬間に森を思わせる清涼感とどこか懐かしい甘い香りを放ちます。ひと口含めば、こわばっていた肩の力がふっと抜け、心の奥まで解きほぐされていくのがわかるはずです。コーヒーがお好きな方には、内川のシンボル・東橋のたもとに佇む「cafe uchikawa 六角堂」のドリップパックを。内川の風景に欠かせないあのカフェの味を、お部屋でゆっくりと楽しめます。深いコクと香ばしさが、冷えた体にじわじわと染み渡る時間はまさに至福のひととき。
窓の外に目をやれば、しんしんと降り積もる雪。 さっきまで歩いていたあの道が、もう真っ白に塗り替えられている。 地元民の「うんざり」をよそに、暖かい部屋の中から冬の美しさをただただ甘受する。この「申し訳ないほどの温度差」こそが、冬の内川エリアを訪れる最大の贅沢ともいえるでしょう。火の温もり、お茶の香り、そして人の優しさがいつもよりずっと近くに感じられる、一番温かな季節なのかもしれません。
静寂と温もりが同居するこの場所で、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。 どうぞ、とびきりの防寒着を持って、この美しいモノクロームの世界へ飛び込んできてください。
クロモジティーバッグは「藤岡園」http://@https://www.fujiokaen.jp/さんで購入可能
「cafe uchikawa 六角堂」のドリップパックコーヒーの購入はこちらからhttp://@ https://lupe.theshop.jp/



