富山県新湊の町に冬の足音が静かに響き始めました。
内川の水面は、澄んだ冬の光をきらきらと反射しています。係留された漁船たちも、どこか身を寄せ合っているように見えて、東橋のゆるやかなアーチの影は、水面に長く伸びています。この静謐な情景こそが、私がこの地を離れられない理由なのかもしれません。

さて、今年も内川の冬の風景にぬくもりを添える、大切な作業が始まりました。そう、クリスマスツリーの飾り付けです。
一棟貸しの空間にツリーが運ばれてくるだけで、空気が一変します。空間にふさわしい木の枝で雪の結晶を模ったものや、手編み風のセーターや靴下のアイテム。ひとつひとつ丁寧にオーナメントを枝にかけていく時間は、私たちにとってもささやかながらも幸福な冬の儀式なのです。

そんな作業をしていると、ふと窓の外に温かい気配を感じました。この近所に住む顔なじみの方が、興味深げに中の様子を覗き込んでいらっしゃいます。
「おや、今年も出したんか。ええ雰囲気やねえ」
特別なやり取りではありませんが、こうした何気ない会話が自然に生まれるのが内川です。宿で起きていることと、川沿いの日常が、いつもゆるやかにつながっています。

こんなふうに、私たちのささやかな冬支度が、地域の方々の日常にそっと溶け込んでいく。この場所が単なる宿泊施設ではなく、内川という「日常」の一部になっていることを実感する瞬間です。観光客と地元住民という境界線がふっと消える、この温かい交流こそが、私たちが大切にしたい財産です。
少し歩くと、ホットドック店「Sea Bell」さんの外壁にも、冬のしつらえが加わっていました。梯子を使い、今にも壁をよじ登りそうなサンタクロース。冷えた空気の中で、その姿が通りに小さな動きを生んでいます。
夜になると、川沿いの橋や建物に灯りが入り、水面には点々と光が映ります。Sea Bellさんのサンタ、各所のやわらかな照明、そしてホテルのツリーの灯り。それぞれが独立していながら、川を挟むことで一つの風景としてまとまって見えるのが、内川の冬の夜です。
静かで、大きなイベントがあるわけではありません。
けれど、人の暮らしと水辺、室内のあたたかさと外の冷たい空気が、いつもより近い距離で重なります。水辺の民家ホテル カモメとウミネコは、そんな内川の冬の時間を、夜から朝まで続けて味わえる場所です。
歩くだけでは気づきにくい変化も、泊まることで、ゆっくりと見えてきます。
日常から少し離れ、港町の冬支度の中に身を置くような滞在を。
内川は今年も、静かな灯りとともに冬を迎えています。



